最近よく聞く言葉に「事業者変更」という制度があります。
今年の7月から、いよいよ始まる新しい取り組みがこの事業者変更なのです。
と言っても何のことやらさっぱり分かりませんね。
簡単に言うと、光回線サービスを、今までよりスムーズに、より費用をかけずに乗り替えることができる制度です。
ぐれ太
オレもそろそろ彼女を変更しようかと思っているんだけどな!
ちび太
身の程知らずって言葉を知らないの(笑)
目次
「転用」は一回限定のフレッツ光から光コラボへの一方通行の契約変更
光コラボレーション(光コラボ。またはコラボ光)というネットサービスが始まったのが、2015年のことでした。
光コラボを簡単に説明すると、
NTTのフレッツ光を別の会社が自社サービスとして販売する
という、分かるようでよく分からないサービスでした。
これを、カレーに例えてみましょう。
「CoCo壱番屋」で食べられるカレーのルゥは「ハウス食品」が提供しています。
でも、ココイチのお店で食べられるカレーを「ハウスのカレー」とは呼びませんよね。ココイチで食べるカレーは「ココイチのカレー」なんです。中身が同じでも、商品名が違うことが、けっこう割とあるんです。
ぐれ太
なぜカレーに例えるんだ?
ちび太
単なる思いつきだと思うよ!(笑)
それと同じことで、ビッグローブ光の中身は「フレッツ光」なんです。でも呼び名はビッグローブ光です。
ソフトバンク光を使っている人がネットに接続して、「あ、これフレッツ光だ」と気づくことはありません(契約内容を調べればそう書いてありますが)。
本来プロバイダ業者であるビッグローブが、NTTからフレッツ光を卸してもらって、お客様に販売する方式を「光コラボレーション(通称光コラボ)」と言うんですね。
ココイチがハウス食品にお願いして美味しいカレールゥを使わせてもらうようなものです。カレーを売る時にトンカツや唐揚げを一緒にトッピングしてあげて、ココイチのオリジナル感を出せば、ますますお客様は「これがココイチのカレーか」と喜びます。
もはや、誰もハウスのカレーだとは思わないわけです。いや、別に思ってもいいんですけどね。
ココイチはお客様に、お家でわざわざカレールゥを買って作るよりうちで食べたほうが美味しいですよ、と宣伝できます。
ビッグローブ光も、うちで光回線を使えば快適なネットができますよ、と宣伝するのです。それがプロバイダ業者(ビッグローブ)なら、うちと契約すればネット料金とプロバイダ料金を一緒にするので簡単ですよ、とメリットを強調できます。
別の業者は、さらに独自のサービスを付けたり料金をお得にしたりして、メリット感を強調します。
そして一番の強みは。
今までフレッツ光を使っていた人は、契約をそのまま移行させるワザが使えます。
フレッツ光での契約内容をほぼ変えずに、「○○光」へ替えられるのです。フレッツ光ユーザーは、光コラボの業者に連絡して申し込めば、(同じ契約内容なら)そのまま何もせず、立ち入り工事もなく勝手に切り替えてくれるのです。
これを「転用」といいます。
ただし。注意する点があります。
一度フレッツ光からどこかの光コラボへ転用すると、もうフレッツ光へは戻せません。
といっても、二度とフレッツ光を使えないわけではなく、「手間をかけずにそのまま移行」ができないだけ。一度解約して再契約すればフレッツ光に戻せます。
ただ、その際はまた立ち入り工事が必要になります。
つまり、転用は一回きり、しかも一方通行のワザだったのです。
そう、今まではね。
ぐれ太
行きはよいよい帰りはダメよ〜
ちび太
二度と戻せないなんて、ひどいね!
「事業者変更」は、NTT光回線同士で自由に契約を移行できる新ワザのこと
2019年7月から、事業者変更が始まりました。
これは、一方通行の転用を、光コラボ間でできるようにしようという施策です。
今までは光コラボサービスに転用すると、そのまま他の光コラボへ移行できませんでした。これを可能にしたのが事業者変更です。
それまでは、一度光コラボサービスを契約したら、他の光コラボに乗り換えるには、まず解約し、新たに新規で契約し直すしかありませんでした。
その時、ひかり電話を使っていてNTT発番だったら、一度NTTのアナログ電話に戻します。
それからネットを解約し、新規で別の光コラボを工事して契約し、その光回線に再びひかり電話を乗せ替えるという、非常に面倒でお金のかかる手間が生じていたんですね。
でも光コラボ契約時に作られた電話番号なら、その番号はもう使えません。せっかく慣れてきた番号を捨てて、新しい電話番号に変更せざるを得なかったのです。
これはさすがにサービスの悪化だろうということで、総務省も問題視していました。
それらの問題を解決するのが、「事業者変更」なのです。
ぐれ太
つまり、ココイチからバーモントカレーに戻せるってことか
ちび太
もうカレーの話は終わってるよ!
転用の一方通行問題が無視できなくなったのは、利用者が増えたせい
今まではこの問題、無視していました。
光コラボが開始されたのが2015年2月。開始当初はまだまだ光コラボへの転用を済ませた方が少なかったので、さらに別の光回線へ乗り替えようという人はほとんどいませんでした。
その頃は、一度転用したら元のフレッツ光には戻せないことや、別の光コラボへ2回目の転用はできないことなど知られておらず、いざその時になって初めて気づいたのです。
「これは困った事態になったぞ」と。
光コラボの事業者たちは、この問題を総務省に申告しました。早急に解決してほしい、と訴えたのです。
しかしNTTは慎重でした。なぜって、この問題を解決するには、相当な設備の増設やシステム改修が必要になります。それにこの問題を解決したからと言って、NTTが儲かるわけではありません。得するのは光コラボ事業者ばかり。
いくらNTTが圧倒的にシェアを握って儲けていても、自分たちの利益にならないことを費用負担するなんて、馬鹿馬鹿しい。
だからNTT側としては、この一方通行の戻れない転用問題は、解決に乗り気ではありませんでした。総務省としても、無理やりNTTに負担を押し付けるわけにも行かず、問題を先送りにしていました。
あれから約4年がたちました。
通常光回線サービスは2〜3年たつと初期の割引キャンペーンなどのメリットがなくなるので、そろそろ乗り替えの時期に差しかかります。
ここでようやく問題に気づく人々がどんどん増えてきました。
光コラボに転用で乗り替えると、次はもう解約するしか方法がない、ということに。
2017年末の時点で光コラボを契約している人は1060万件を超えました。
もはや無視できない数の契約数です。これらの人達が、実はもう二度と同じ契約を乗り替える転用はできない、と知ったらどう思うでしょうか。
(今までの契約を解約し、新たに新規で契約しなおせば、別の光回線を使うことはできます。でもわざわざ解約の工事+新規の工事をやり直す必要があるので手間も費用もかかります)
本来、解約したり新規申し込みをしたりが面倒なので人気が出た「転用」だったのですが、ワザを使えるのが一度きりだなんて。
でもようやく自由な光コラボの乗り替えが実現したのです。