前々回、前回と2回に渡ってお送りしてきたNURO光forマンションの導入実録レポートですが、これが最終回です。
3回目はいよいよ宅内工事の模様をお届けします。
第1回はこちら。
NURO光の営業チラシが入ってきて検討した結果申し込んで、設備導入が決定するまで。
第2回はこちら。
回線工事、設備構築工事と2回に分けて実施された宅外工事の模様を。
そしていよいよ、自宅内の工事を行う日がやってきました。
なお、私の契約したのはNURO光forマンションですが、工事そのものは通常のNURO光もほぼ同じです。違う箇所があるとすれば、宅外工事と宅内工事の順番が逆なこと。
「NURO光マンションミニ(通常のNURO光の集合住宅契約)」では、MDF内での作業が宅内工事とセットで行われるはず。そして宅内工事に関しては全く同一ですので、参考になるかと思います。
今回の工事を体験して、一つ分かったことがあります。
それは、従来のNTTが行なってきた光回線の施工は、実は絶対的な正解ではないのかもしれないということです。
今まで、我が家のような古い物件には1G超の高速回線は導入できないと思い込んでいたのですが、やろうと思えば可能なんだという可能性を感じました。
というのも、私の家は賃貸の住宅でかなりの築年数を重ねた古い建物です。フレッツ光を使っていた時代も、電話線を利用した昔ながらの接続方式(VDSL方式)でネットを繋いでいました。
20年以上も前に初めてネット回線を導入してから、何度も技術革新が起こりました。フレッツISDN、ADSL、そして光の時代。
いくらネットがバージョンアップしても、同じメタル線による接続方式から抜け出せなかったんです。だから、1Gの速度は最初から諦めざるを得なかったのです。
ところが、NURO光の工事が完了してから革命が起きました。
光配線方式が導入できたのです。これはフレッツ光や光コラボを利用していたら絶対に実現できなかったスピードです。それまでの常識では、直接宅内へ光ファイバー線を引き込むことは不可能でした。
それを、So-netはやってくれたんです。
それがいかに革新的で素晴らしいかを、本文の最後の方で説明していきます。
なお、私の自宅に光が導入されたからと言って、どの家庭でも必ずできるというわけではありません。あくまで古い私の自宅では可能だった、ということです。
なにとぞご理解いただければと思います。
それでは、行ってみよー!
目次
光ファイバーケーブル入線作業【写真と図解で解説】
宅内工事、当日。
ついにやってきました、この日が。待ちわびた……。
ピンポン!
「どうもー、NURO光です!」
やって来た担当の方。ご挨拶と共に、作業道具を持参。
担当者さん、早速まずは外の確認します、とのこと。
宅内へ作業用の道具を置いて、外へ出て行きました。
そこで、ちょっと観察。
室内に残したものを見ると、作業用に敷いたマット、大きな鞄と、ダンボール箱が一つ、上から白い線が出たものを置きました。
これがいわゆる光ファイバーケーブル(の塊)ですね。いや塊じゃなくて収容箱ですか。側面に窓がついていて、覗くと白い線が束になってます。
なるほど、光ファイバーは部屋の中から伸長していくんですね〜。
しばらくして戻ってきた担当さん、今度は部屋の中の配線を確認。
うちの中の、電話の配線はどこですかと。
あらかじめ聞かれることは予想していたので、場所を案内します。
と言っても我が家の電話線は、室内のキッチンの上、天井近くに穴があり蓋が付いています。開けたことはありませんが、そこからコードが出て壁を伝い、離れた位置にあるモジュラージャックまで繋がっています。
モジュラージャックもコンセント式ですらなく、壁に後から取り付けたタイプのもの。
我が家は築年数も四十年を超えた古い住まい。
壁のペンキも剥がれ、こんなにボロボロです。
穴から出て左側に走る黒い線が、モジュラージャックのコードです。
今回の入線工事は、この穴を利用して外から光ファイバー線を引き込むようです。
しかしこの電話線は、壁内を通って外へ繋がっているはず。具体的に内部のどこを通るか全く検討もつきません。
担当さんは、穴を塞ぐ蓋を外し、持ってきたフラフープ状にまとめたワイヤーケーブル(名称不明のためそう呼びます)の先端を繰り出し、穴に差し入れます。
……おっと、調べてみたら分かった。通線ワイヤーと呼ぶんですね。
モノタロウにそっくりの商品が売っていました。
上の写真の縦に入ったワイヤーがそれですね。こんな感じの輪っかから引き出していた。
ワイヤーを穴に、どんどん入れて行きます。
ある程度入れたところでストップ。
そこで、担当さんはいったん外へ出て行きました。何か確認するようです。
この間、何をしているのか見なかったんですが、しばらくして外を観察してみると、何と!
玄関の外の壁、天井近くに階数表示の丸いプレートがはめ込まれているのですが、それを外していたんです!
プレートを外すと、そこに穴が空いている!
そう、ここには穴があり、電話線を通す通用口だったんです。
これ、外れたんだ……と軽い衝撃が(笑)ただの飾りじゃなかったのか……。
何十年も住んでいて、初めて知った。
穴の中を覗くと、先ほどの通線ワイヤーが見えていました。
(写真はワイヤーを抜いた後に撮りましたので写っていません)
で、今度は担当さん、室内に戻り、ワイヤーは抜いてしまいます。
次に、白い線を箱から引っ張り出して、先端を曲げて折ると、穴に突っ込んでいきます。
どんどん入れていく。差し入れるとガサガサ音がします。内部でこすれているようですね。壁内に配管があるのでしょう。
しかし数十年前に設置された配管が今も使えるのか?
実は正直言って心配でした。
もし、ここから線を通せないとなると、おそらく工事は中止になるはず。
逆に、これが通せれば成功に近づきます。なのでちょっとハラハラしながら見物していました。
私は再び室内に戻ります。
ダンボール箱から、ケーブルがずるずる引き出されていく音がします。
そして白い線が、玄関外の穴から飛び出ました。ある程度出したら、床に届くくらい、2メートルくらい伸ばして垂らします。
写真はちょっとしか写っていませんが、実際は床につくくらい伸ばして出してます。
次の工程。
観察していると、外の階数プレートの穴から再び通線ワイヤーを差し入れ、下に向かって伸ばしているようでした。
つまり、下の階へ向けて差し入れたようです。
こんな感じでしょうか。
次に、担当さんは下の階、4階に降りて行きました。
少しだけ観察。
室内〜外のフロアで行った作業を繰り返しているようでした。
・ワイヤーを通す
・ワイヤーを抜く
・光ファイバー線を通す
・光ファイバー線の先端を出しておく
すると、こうなります。
さらに3階へ。
3階の壁には丸い階数表示はなく、「電話」と書かれた四角いプレートがあります。それを外した状態。
でも穴らしきものはあり、そこから線を出すことが可能です。
写真の穴から出した光ファイバー線の先端が折れているの、分かりますか?この先の折れた部分を穴に差し入れたのですね。
この辺りになると、見学に飽きて来たのでちょっと休憩。
と、油断しているうちに、担当さんは2階まで到達したようです。
しまった……!
例のMDFまで作業を完了してしまったようです。
慌てて下へ降りていったのですが、外の作業はおしまいです、と言われてしまいました。
あちゃー。失敗。
ボックスを開けたところは見逃してしまいました。
残念。
こんな感じで、宅外の作業は全て完了してしまいました。
……まあ仕方ない。
でもこれでやっと、電柱から引き込まれた光ファイバー線が、自宅内までつながりました!
後は機器(ONU)を接続し、設定するだけ。
宅内作業【光ローゼット設置〜ONU接続】
次はようやく、宅内に入って、最終的な機器の接続作業です。
最も気になっていた部分が完了したので気が抜けてすっかり安心してしまいました。
おかげで中の作業をよく見てませんでした。でも簡単な作業のみでしたけど。
まず持ってきたケーブルの長さを確認。どのくらい確保しますか?と聞かれたので、長めにしてもらいました。
設置後、部屋の模様替えの際に、機器の置き場所の変更に対応できるように。
といっても大体2メートルくらいかな。あまり長すぎても邪魔なので、ほどほどにしておきます。
おそらく部屋の入口付近あたりで取り回せれば何とかなるだろう、と考えてのことです。長いままでは邪魔なので、丸くまとめてくれました。
次に担当さんは、線の先端をカットし、白い皮膜を剥いていました。そして、中の芯線を取り出し、コネクタのような器具を取り付けました。
それから、白いケースのようなものを取り出します。
この白いケースが、『光ローゼット』ですね。
築年数が浅い建物であれば、壁に光コンセントがあると思います。壁内の配管を利用して光ファイバー線を引き込めるマンションであれば、直接光コンセントの裏側までケーブルを持ってこれます。それなら光コンセントに施工されるわけです。
(厳密に言うと、光コンセントではなく光アウトレットと呼びますが、同じものと考えて問題ないです)
宅内へ光ファイバー線を引き込む方法で、エアコンのダクトから入れたり、壁に穴を開けて引き込んだ場合は、壁内配管を通すことなしに宅内へ光ファイバー線が入ってきます。
その場合、光コンセントではなく、『光ローゼット』というケース状のものを取り付けます。簡単に言うと、これを室内の床に直置きします。
邪魔っちゃあ邪魔だけど、位置を好きに移動させられるのでこれはこれでよし。
光ローゼットの内部に線を固定してから、バチンと蓋を閉める。
取り付けができたら、ルータを箱から出しました。
さあ、問題の機器、ONUがいよいよ登場です!
おおっ、あの機種は……何だろう?
今回の宅内工事の最大の関心の一つであり、かつ最大の懸念事項が、このONUの種類です。
うちに来たのはどの機種だろう。
見ていると、縦置き型だった。
担当さんの説明もよく聞かずに、ONUの筐体をじっくり見てました。
作業は、機器と別のケーブルを取り出し、接続していきます。
白いコードと機器本体を接続して、完了。
最後に箱を渡されました。
マニュアルが入っていて、確認すると、やっと機種が判明。
F660A!
高速タイプでした!
ヤッター!
担当さんが手元で接続が完了しているのを確認していただき、無事ONUを設置し、宅内作業も全て完了です。
工事完了書類にサインをし、終了。
その後、説明を受けた通り、ONUの側面に貼られたシールに記載されたパスワードをPCに入力し、Wi-Fi環境を設定。
つないでみました。
速!!!
来たよ、来た!
何たる速度。何たる快適度。
何たるQOL。
何たる、充実感。
これですよ、これ。
これこそ私が求めていた、夢の超高速ですわ。
気がつくと私の頬を一筋の涙が……ってほどじゃなかったです、さすがにw
感動はバッチリしました!!!
Wi-Fi及び有線接続での実測値【スピードテスト】
複数のスピードテストサイトで試してみました。平日の午後の計測です。
とりあえず接続直後に測ったのがfast.comですね。
今までとの違いに満足してしまい、一箇所のサイトだけ確認して外出してしまった。
その夜帰宅してから、夜の20時台に、改めて計測。
今度は別のサイト、ブロードバンドスピードテストから。
ついでに、直接有線でONUとPCをつないだらどうなるんだろう……?
やってみました。
なるほどですねー。
平日の20時台としては、かなりスゴいです。
次に、speedtest.netでも計測。
さすがに平日の夜は混雑しているようで、ダウンロード速度は落ちますね。
でもアップロードはスゴい。
ウッヒョオオオアアア!
というわけで、大満足でありました。
この後も時間帯を変えて、色々試しましたが、大体上記くらいの速度で推移していました。
所感:NURO光はVDSL方式のマンションに革命を起こす
今回工事の様子を見て、一つ感じたことがあります。
それは、NURO光の開通にかける熱意です。
というとちょっと大げさかもしれませんが、NTTとの温度差を見た気がします。
まず、集合住宅において、NURO光の接続は、光配線方式しか選択肢がありません。
一方、NTTにはVDSL方式がある。これは簡単に言うと電話のネットワークです。電話回線のインフラを持つNTTにとって、光回線のネット網を築く前に、電話の情報網を持っていました。なので、既存のネットワークをアップグレードすることで、光回線網を作ることにしたわけです。
でもSo-netには電話の情報網はありません。だから、最初から光配線方式のネットワークを作るしかなかったのです。
NTTは、従来の続きで古い方式を少しずつ時間をかけてアップグレードするつもりなのでしょう。だから、今でも古い低速の純粋な光回線ではない電話のネットワークを残したままにしていた。
そこへ、So-netが殴り込みをかけた。
NURO光にとっては新方式しか2Gの速度を出す方法がないため、全戸で光配線方式を導入するしかないのです。だから、提供エリア内なのに申し込めないマンション・アパートがかなりあるはずです。
しかし。私の自宅のような、最初から「置き去り」にされた古い建物でも、これから光配線方式を入れることが可能になっていくわけです。というより、NTTがやらなかった工事を、So-netはやるということ。
より多くの家庭で光配線方式を入れるチャンスが増えたということなんです。
NTTには今までできなかったことを、NURO光がやろうとしているんです。新たな挑戦だと思います。そのチャレンジングな姿勢を歓迎したい。
今まで低速100Mの我々VDSL方式の世帯に、1Gと同じ料金を払わせて平気な顔をしていたNTTに、一矢を報いるような快挙なんですよ、これは。
だから私は感動しているんです。
ただ、だからといってNTTが怠慢だったとも言えないんですね。古い電話のネットワークを使いながらも徐々に新しい光回線を広めていったのは他ならぬNTTですから。
時代がNURO光を生み出し、私たちはそのチャレンジングスピリットで革命を起こしてくれた、そんなSo-netさんを応援してあげたいんです。
というわけで、自宅のネットを高速化したいなら、NURO光がベストですね。
これが結論でした。